普段は各話感想なんて書かないのだが、ココ最近のウルトラマンデッカー特に最新の第10話はずば抜けた酷さなので緊急で記事を書く。
正直デッカーには序盤から倫理的に怪しい所はあったが、最新話はそれら全てを凌駕するほどに倫理観を大きく欠いたとんでもない回なのである。
以下問題点
・普通に改悪
この回はウルトラマンダイナの第16話「激闘!怪獣島」(以下「怪獣島」)というエピソードを元にしたリブート回のようなもので大まかなストーリーや登場怪獣の一部こそ似通っているが、実態は大きく違う。
「怪獣島」は「人間と怪獣の共存」が言及されてこそいたが、ハイパークローン怪獣ネオザルスで学会に復讐しようとするマッドサイエンティスト・オオトモ博士からハネジローを救い出すのがメインイベントであり娯楽性の高い回だった。
しかし「人と怪獣」は大真面目に「怪獣と人類の共存」という古臭い上にエンタメ性を削ぎやすいテーマを主軸に据えたエピソードとなっていた。娯楽回から娯楽性を消し去った時点でクソリブート確定なのだが、この程度で済むならまだ幸せだった。
・本当にシゲナガの思想は間違っているのか?
先に言っておくがこれは決して逆張りではない。確かに怪獣という不安定な存在に地球防衛をさせようとした行動は否定すべきだが
「支配するか完全に滅ぼさないと人間と怪獣の戦い(=生存競争)は終わらない」という思想は一理あると思うしそれが自然の摂理だろう。シゲナガは彼女なりに答えを出しているのに副隊長は「なにか方法はあるはずです!」の一点張りで頭ごなしに否定する。私は怪獣より恐ろしいネオメガスよりも副隊長の方が恐ろしいと思います。
救うか殺すかの違いはあれど人間のエゴで怪獣を好き勝手にしようとしている時点で副隊長も同類だと思うのは私だけだろうか?
・命の選別基準が不安定
これは今回に限らずデッカー全体に言えるのだが怪獣を殺すか否かの判断基準が不安定である。1~4話までは怪獣やスフィアを「人類の敵」と割り切って駆除していたが、第5話で明確に人間に被害を出したエレキングを突然都合よく生えてきたミラクルタイプの力で小さくし無罪放免した。しかし直後の第6話では地底でただ生きていただけで地上に何の被害も出していないツインテールの群れをナースキャノンで当たり前のように虐殺。その後もメガロゾーア、カルミラ、グレゴール人と不安定な対応が続いた極めつけが今回の第10話である。
Zにも言える事だがこの手の展開をやるならやるで他のスタッフと連携を取れ。「一貫性があるだけデッカーよりマシ」という理由で大嫌いなコスモスを再評価する日が来るとは思わなかった。
今回登場したネオメガスは「コントロール可能」一点だけを除けばハイパークローン怪獣ネオザルスと同じような設定だ。しかしこの一点が非常に大きく、制御不能なのでハネジローの遺伝子を取り込む必要があったネオザルスとは違いネオメガスはシゲナガの持つペンダントによってラジコンのように完全にコントロール出来ていた。シゲナガを手の上に乗せて移動するなどかなり器用なコントロールが可能だ。
ところでこのネオメガス…殺す必要はあったか?
もちろん私はあんな超危険生物はさっさと殺すべきだと思うが、副隊長の「怪獣の命含め一つでも多くの命を救いたい」という思想に則るのなら制御装置を破壊せずに保護してやるべきだったのでは?こいつなら多分ギリギリ助かったぞ。同じ生物兵器のエレキングを救った副隊長ならきっと出来ますよ(笑)
・公的組織とは思えぬ軽率さ
記憶に新しい第9話ではグレゴール人の私利私欲を満たしてやるためにノリノリで防衛戦力(国民の血税だぞ!)を使う隊長にはドン引きした。使命感の欠けらも無いカナタでさえ隊長の提案には疑問を持っていたというのに…*2
今回に関してだってネオメガスはシゲナガに忠実に従っていたのに副隊長がペンダントを破壊したから力が解放されて凶暴化してしまった。*3結果的に勝てたから良かったもののこんな軽率な行動をする奴に人命や怪獣命(?)を守る責任背負えるんか?w
まあ信仰や表現の自由ってあるからね。今回の副隊長がどういう考えでも最悪いい。しかし地球平和同盟(TPU)に属する公的な組織でそれをするとなると話は別だ。環境テロリストとか過激派ヴィーガンみたいな事がしたいならガッセレの設備や権力を使わずに自前でやりなさいよ。意外と賛同者は多いかもよ?例えばほら、こいつとか
・あの人物との関連
カイザキ・サワ副隊長を演じる宮澤佐江は「ウルトラマンサーガ」のサワと同一人物である可能性を公式のコメントで匂わせている。
サーガのサワと同一人物だとしたらウルトラマンダイナ/アスカと会っている事になるのでデッカーとダイナの繋がりが出来てしまいダイナが好きな身としては非常に不安なのだがそれは一旦脇に置いておく。サーガにはダイナ以外にも二人のウルトラマンが登場した。一人はウルトラマンゼロ。もう一人は…
あっ…(察し)
こりゃもたねえな。
・最後に
今回のような最低のクソ回を作ったからには責任もってスフィアと共存の道を模索して欲しいが、どうせ今回の出来事は忘れて来週からまたバカスカ怪獣を殺し最終的にスフィアを殲滅するだろう。
しかし仮に共存したらしたでヒーロー作品としてクソつまらなくなるのでどの道詰みだ。
なのでこういう怪獣の命に寄り添った話はやらないに限るのである。