【人類の叡智が】超今更ウルトラマンZ 総括【完全敗北!?】

※前置き長いです。適当にスクロールしてね

 

「シン・ウルトラマン」は本当に良い映画だった。

空想と浪漫。そして、友情。「シン・ウルトラマン 空想特撮映画」感想 - 魔を断つ剣は未だ折れず

MX4D(4DXをさらに激しくしたようなもの)を含めると4回も観に行ってしまった。

初日から大ヒットを飛ばし普段ニュージェネウルトラマンを観ていない人達もこぞって見に行った。*1

Twitterではウルトラバカがこぞって「シン・ウルトラマンウルトラシリーズに興味を持った人にオススメの作品」大喜利をしていた。

私の意見としてはアニメ勢に原作を勧めるのと同じ要領で「シン」の原作にあたる「ウルトラマン」以外に有り得ないと思っているのだが、世間ではどうやら違うらしい。初心者に聞いた訳でもないくせに白黒(Qやゴジラなど)がダメ、フィルム撮影がダメ、古いだけでなんか抵抗があるとかいう舐め腐った考えから「ウルトラマンZ」を勧める人が非常に多かった。f:id:serimetagross:20220626070059j:image

そして円谷イマジネーション公式のTwitterから衝撃のツイートがなされた。


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元々*2過大評価気味だったウルトラマンZだが、公式のこのツイートに気を良くしたのかファンはかなり調子に乗り始めた。私もニュージェネ作品の中では比較的マシな「Z」には甘めに評価を下していたのだがここまでファンだけでなく公式が調子に乗るのを見過ごす訳には行かない。

そのために私は今から「Z」を甘やかす事無く本気で評価していく。

ぶっちゃけるとこの作品は「駄作」である。しかしニュージェネには「オーブ」や「R/B」など作品未満のものが多く「Z」ですら輝ける環境だ。なので優しめに評価していたのだが今回厳しめに切り込んでいく。「Z」は他のニュージェネと違い「作品」の域にはある。なので強めに叩いても弱いものいじめにはならないだろう。

 

評価点

とは言ってもいきなりボコスカ叩くのも気が引けるので先に良かった所をば。

同じ田口・坂本監督の「ウルトラマンX」ぶりに防衛隊が復活させ、Xのように怪獣事件を追いかけ解決する事に1話割く往年のオムニバス形式に戻そうとした気概は評価したい。隊長の枠に宇宙人ジャグラスジャグラーを体育会系のスカッとした隊長ヘビクラとして置いたのもMACのダン隊長のリベンジとしても上手くいっていた。Xやグレートのように「バディ」のウルトラマンなのも好印象だった。ペギラブルトンネロンガなど第一期怪獣が中心なのも私好みでとても良い。ここまで褒めておいて何が嫌いなんだ?お前こそバカ信者だろ!と思った方、お待たせしました。今からちゃんとぶっ叩くのでご安心ください。

 

 

問題点

・ヒーロー失格な主人公

私はどちらかというと怪獣よりヒーローを重要視するウルトラファンでありかっこいい防衛チームやウルトラマンが大好きだ。序盤こそゲネガーグやゴモラを「みんなを守るために」割り切って殺していた「良いバカ主人公」だったが、折り返し地点である11話で二匹現れたレッドキングの片割れを倒した直後にその卵を見つけた事で、かつて父親を失った自分とレッドキングの子供を重ねPTSD*3を発症。何を血迷ったのかヨウコから母親(父親?)のレッドキングを庇い取り逃してしまう。まあこれくらいはいいだろう…とはならない。

ここでキモとなるのは人を襲う怪獣を退治しようとしたヨウコを邪魔した事。そしてハルキが可哀想だと思った対象はレッドキングではなく同じ境遇の「自分」である事だ。もうヒーロー失格の最低主人公なのだが次の回でどうにか立ち直ってくれると思っていた。だがその期待も虚しくPTSD再発!憧れのヨウコ先輩の説教も全く効果なしでグルジオライデンを攻撃できなかった。その後の14話に出現したブルトンの四次元攻撃により過去に飛ばされてしまい父親と再会し「手の届く範囲で守ると決めた人を守る。そのせいで傷つけてしまった人を絶対に忘れない」というおめでたい思想を受け継いで現代に帰還しブルトンを倒す。

ちなみにこのエピソードは全25話中の第14話である。しかし導き出したのは第2話かいいとこ3話で出すような超初歩的な結論だ。未熟と言っても限度がある。こんなヒーローをどう愛せばいいのか?そもそも防衛軍に所属しておいて「怪獣殺せませーん!」は「なんでこの仕事を志願したんだ!?」と思えて仕方ないし、何よりストレイジの仲間やウルトラマンという巨大な力を持っていながら「手の届く範囲で」とは正気なのかコイツは。そのくせ対等な命のはずの怪獣を「可哀想」と憐憫する辺り強い力を持って舞い上がっている節もある。無力な人間気取りなのか全能の神気取りなのかどっちやねん。しまいにはいざストレイジが解散してからは「怪獣と戦う日々が生きがいだった」と言い始めるからブレブレである。

そして、肝心の相棒であるゼットは同じ「バディウルトラマン」のグレートやエックスのようにハルキを導いたりはせず「ハルキと心が重ならなくなった」と他人事で無言を貫いている。ヒーロー失格コンビだ。

 

・第二の主人公もブレブレ

今回の隊長・ヘビクラの正体であるジャグラスジャグラーは「ウルトラマンオーブ」から登場するウルトラマンのなりぞこないのような男で本作の第二の主人公である。最初はヒーローごっこをしているのかと思っていたのだが「オリジンサーガ」を見ればわかる通りウルトラマンにかなり酷い目に遭わされてきたのでウルトラマンに頼らず人命を守るストレイジの隊長をしているのも納得である。ハルキがレッドキングと卵を取り逃した時も「逃げたレッドキングは次に現れた時は再び人間を襲う可能性を残している」と冷静沈着な判断をしており、ハルキに期待できなくなった私の最後の砦が彼であった。しかし第24話で彼の真の目的が明かされたことで希望が打ち砕かれてしまった。なんと大昔のオリジンサーガでの出来事を未だに根に持っていて「このウルトロイドゼロでお前達(惑星カノンの人達)の正義の危うさを自覚させてやる!」という幼稚なものだった。終わりだよこの作品。

 

・全体的にオリジナリティに欠ける

とにかくこの作品にはオリジナリティがない。最終章はダイナの焼き直しで完全な劣化コピー。ただでさえ話がこのザマなのに新規怪獣が非常に少ない*4

「手の届く範囲の命を守る」も「仮面ライダーオーズ」の丸パクリだ。オーズの主人公・火野映司はそのためのどこまでも届く手を欲したが、最終回では「みんなと手を繋げばどこまでも手が届く」と知りその考えを「卒業」した。非常に感動的な最終回だった。

しかしハルキは「届く手には限りがある」と変な風に割り切ってしまい力を持ちながら無限に届く手を求めることも無く、14話にして映司のスタートラインにすら立てていない体たらくだ。どうせパクるならちゃんとパクって欲しい。

第12話の戦闘シーンの「ウインダムを食ってる…!?」「動いて、動いて、動いてよ!」などエヴァ19話および新劇場版:破のパロディも非常に不愉快だった。パクるなら碇シンジの男らしさと強さまでしっかりパクって欲しい。

 

・衝撃の「人類完全敗北エンド」

私の考えるZ最大の問題点はここであり私が今回この記事を書いた一番の理由が「ここを指摘している人が非常に少ないから」である。

 

Twitterでは「#最高の最終回」というハッシュタグで大いに盛り上がった最終回は、一見すると

人類の叡智の結晶たる特空機ウルトロイドゼロがセレブロに乗っ取られ誕生したデストルドスが同じく人類の叡智・D4を武器に大暴れし、そのデストルドスに囚われたヨウコをストレイジウルトラマンZが救い出して終わり…

という非常にスッキリした内容に見える。

しかしその実態はこれまでの伏線を放棄する「裏技」を使い21~24話の陰鬱なムードを吹き飛ばす事によって実現した非常に不誠実な作劇なのだ。

その上、D4はネオマキシマ砲のパクリでウルトロイドゼロ及びデストルドスはプロメテウス及びデスフェイサーのパクリだが、元ネタのネオマキシマ砲は最終章で解禁され太陽系を救った。

しかしD4・ウルトロイドゼロは最後までセレブロに凌辱されたまま名誉挽回・汚名返上のチャンスはついに来ることは無かった。

人類の知恵と力と勇気は負けたのだ。

人類はジャグラーセレブロのお遊びに付き合わされ、ウルトラマンがそのケツを拭いただけ。もちろん彼らのぶちまけたウンコはそのままだ。人類が敗北して終わるウルトラマンなんてありえない。

これまでのシリーズを振り返っても最強の怪獣ゼットンを倒したのは科特隊のペンシル爆弾だ。惑星の熱を食い尽くすマーゴドンは人間だけの力で倒され、世界中の子供達の光がティガを復活させ闇を打ち払い、スーパーGUTSとダイナは太陽系を救い、怪獣の恐怖と共に消されていた希望はネクサスをノアへと強化し、最新作「シン・ウルトラマン」ではウルトラマンが人類の「全てに期待」してくれた。

そんなシリーズのニュースタンダードになりつつあるウルトラマンZは、これらとは違い人類の尊厳を踏みにじられたまま完全敗北で終わった。

さっきは「オリジナリティに欠ける」と言ったが、この人類完全敗北エンドは歴史に残る「オリジナリティ」なのかもしれない。

 

今の私のこの作品の最終的な評価は

前代未聞・人類完全敗北エンドの“Z級”の駄作

である。言いたい事もスッキリ言えたのでこの辺で終わらせて頂こう。ではまた…

 

 

 

*1:大ヒットゆえにツイフェミにも目をつけられてしまったが…

*2:過大評価ではない。超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超過大評価

*3:ACTIONman Battlefield Casualties! P.T.S.D.ACTIONman!

*4:ゲネガーグ、バロッサ星人、グルジオライデン、デストルドスのたった4体のみ