グリッドマンユニバース 感想

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昨日グリッドマンユニバースを観てきました。

お前らの言いたい事はわかってる。

「シン・仮面ライダーの感想はどうした?」だろ。分かってる。わかってるよ。でもしょうがないだろ。あんまりにも良すぎて情緒ぶっ壊れちまったんだから。もちろんグリッドマンなんかではなく仮面ライダーの方ね。

仮面ライダー三原則「同族争い・親殺し・自己否定」は50年間守られ続けているが*1、まさかその50年目に「自己肯定」する仮面ライダーが現れるとは思わなかった。

「僕には他人がわからない!だからわかる様に自分を変えた!世界を変える気なんてない!」

「それは無駄なことだぞ…全ては無駄なことだ!」

「違う!人生の全てに、無駄なことなんかない!」

本郷とイチローのこのやり取りは仮面ライダーカブト最終回で天道総司が示した「天の道」を思わせる…というか完全上位互換だ。正直いって人生ベスト級の仮面ライダーかもしれない。今から1万字かけて語りたいがもうこの時点で私はシン・仮面ライダーの感動がよみがえり熱い涙を流している。なので今回はシン・仮面ライダーは一旦抜きにして次の週に公開したグリッドマンユニバースの感想を書いていく。

 

結論から言うと75点くらいの映画だった。

悪くはない。だが決して良くはなかった。

 

先に言っておくとSグリは「まあまあ好き」ダイナゼノンは「大好き」くらいの好感度である。

 

評価点

・響裕太の初めての戦い

本作はグリッドマンに奪われた*2響裕太の数ヶ月を取り戻すための物語のため、裕太は本作で実質的に初登場したキャラクターと言っても過言では無い。今回の事件を引き起こしたのもグリッドマンが抱くその時の負い目に起因するものだ。私がSグリ本編で一番不満だったのは「響裕太の意識がほぼ出てこない」事による主人公のヒーロー性の著しい欠如である。「裕太のかっこいいシーンは全部グリッドマンの意思だった!」という死ぬほどくだらない展開が嫌いだったが作り手側も多少は自覚があったようで安心した。

 

・アカネちゃん関連

助けに来てくれた時は正直かなり泣きそうだったがふざけた変身演出で涙が引っ込んだ。でもリアルで充実した高校生活を送ってて良かった。ゴミ屋敷で暮らしてたあのアカネちゃんがまさか友達と一緒にゴミ拾いするまで成長するとは…

 

 

 

 

問題点

・本編でやれ!ってネタが多すぎる

無限の命を持つアレクシスが「限りある命の素晴らしさを知っていれば退屈する事はなかった」と言い残して死んでいく姿は感動的だった。しかしこれはSグリ最終回でもやれたネタのはずだ。正直何を今更という気持ちの方が強かった。さっきは裕太関連を褒めたが、そもそもグリッドマンが裕太の身体を乗っ取った展開そのものが要らないのである。この映画が名作なわけではなくSグリ本編が大問題を抱えているだけなのだ。でも姫と再会するガウマは良かったよ。

 

 

・市街地の破壊描写がチープすぎる

Sグリから続いていることだがSSSSシリーズは予算や時間の節約のためビルが壊れるのではなく根元から折れて倒れるニュージェネ形式をとっている。テレビの画面ならまだ耐えられるショボさでも大スクリーンでニュージェネ特撮を見せられてはいくらロボ作画を頑張っていても萎えてしまう。グリッドマンが倒れると自転車が跳ね、怪獣が暴れると無傷の綺麗な車がピーピー警報音鳴らしながら宙を舞う。劇場版ぐらいちゃんと最低限の手間をかけてください…

 

 

・Sグリ本来の面白さが皆無

Sグリはアカネちゃんを中心としたセカイ系だったから面白かったのだ。いわば「オタクは現実に帰れ」の21世紀版である。なので主人公がアカネではなくなった時点でSグリの面白さの9割は消し飛ぶ。悲しいね。正直言うと今更裕太が六花に告る話とかされても乗れないんすわ。六花の言葉を借りると「遅すぎる」

 

しょうもないメタネタ

グリッドマンの派生作品はグリッドマンが生み出した世界らしい。各種コミックやスピンオフならまだわかるが21世紀最高の円谷ヒーローにして大傑作ロボットアニメ「SSSS.DYNAZENON」ですらグリッドマンが生み出した世界のひとつらしい。死ね

あとラスボスのマッドオリジンは雨宮哲監督本人らしい。「勇者特急マイトガイン」のブラックノワールのオマージュなのだろうけどオマージュ元が既にくだらない。

 

グリッドマンが全ての元凶

ざっくり言うと今回の事件は全部グリッドマンのせいで起きた。グリッドマンが裕太に抱いている負い目をマッドオリジンに利用されたためである。言わば裕太や蓬はグリッドマンの尻拭いをさせられたにすぎない。新しい怪獣もグリッドマンの情動から生み出されたもの。

「私は弱い!」と言っていたがそりゃそうだ。お前は大戦犯だ。また同じ事が起きないようにグリッドマン君は今のうちに自殺しといた方がいい。

第一誰がお前なんかをトリガーにしたセカイ系が観たいんだよ。

そこは感謝じゃない、謝罪だ!

 

 

 

・詰め込みすぎ

とにかくこれに尽きる。まるで全12話あるアニメの総集編映画を観ているような気分だった。
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濱田龍臣のヤローはこう言っていたが私は同じ言葉を言わせてほしい。ただし褒め言葉ではなく批判のニュアンスで、だ。

よく考えて見てほしい。全部乗せ大盛りラーメンにチャーハンに餃子10個なんて出されたら食いきれないし食いきれたとしても途中からは気持ち悪くなって美味しく味わえない。特にポンポン強化形態を出しまくったのは悪手だろう。カイゼルグリッドマンやフルパワーグリッドナイト、サウンドラス、新パワードゼノン、なんかよくわからん全部乗せ形態などをゴミのように使い捨てる。

特にカイゼルグリッドマンとフルパワーグリッドナイトはこの二つだけで二時間持たせられるくらいの夢のグレート合体だったはずだ。これらがもし全12話の「TVアニメ・グリッドマンユニバース(仮)」で順々に出てくるとしたらちょうど良かったと思う。

同じ「詰め込みすぎ」でも初代ウルトラマンを分解し再構築した作品「シン・ウルトラマン」の詰め込みすぎとはワケが違うのである。はっきり言ってめちゃくちゃ下品な構成で見れたもんじゃないです。

 

 

 

最後に

さっきは75点くらいの映画とは言ったが、いざ書いてみるとめちゃくちゃ不満が出てきたので25点に訂正しておきます。Sグリのアフターケアとしては良い映画だったのかもしれないが、私はSグリの問題点が浮き彫りになっただけの二時間に感じた。

 

おわり

 

 

 

 

*1:親殺しはV3からもう怪しかったけど

*2:故意ではないしやむを得ない事情があったのでグリッドマンが悪いわけではないが…